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絵本『じゃあじゃあびりびり』0歳児におすすめのファーストブック

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0歳代の赤ちゃんへ読み聞かせる、ファーストブックの大定番!

『じゃあじゃあびりびり』は、赤ちゃんの好きな要素がぎゅーっと詰めこんであり、工夫が一杯です。

元々は、まついのりこさんがご自身のお子さんの為に作った手作り絵本。

赤ちゃんの事をとことん考えて作られたこの絵本は、その後の赤ちゃん絵本のひな型ともなりました。

出産準備はもちろん、出産祝いや誕生日プレゼントにもぜひおすすめです。

 

  

 

簡単なあらすじ

あらすじは存在しません。

ページをめくれば、シンプルなイラストで描かれた水の蛇口や破れた紙などの絵。

「みずじゃあじゃあじゃあ」「かみびりびりびり」など、単語と擬音の組み合わせのみ。

さあ、赤ちゃんと一緒に楽しみましょう、これは一体何だろうね~??

 

絵本の紹介

最も月齢の低い赤ちゃん向けの絵本ですから、ストーリーらしきものは一切ありません。

あるのは、これでもかと詰め込まれた赤ちゃん向けの工夫です。

 

赤ちゃんの見やすさを重視した原色!

まず、表紙デザインを構成する「色の三原色」でもある赤・青・黄色、子供が大好きな鉄板カラー!

子供向けロボットアニメでも、主人公側の機体は大体このカラーリングの組み合わせのイメージじゃないですか?

某ロボットアニメ「機動戦士ガンダ◯」では、スポンサー(おもちゃ会社)の指示により、主人公機はこの色の組み合わせに塗られたんだとか……。

 

赤ちゃんにとってわかりやすい色をまずは表紙でアピールです。

ページを開けば、ハッキリ・クッキリした原色の世界が楽しめますよ。

大人が好むような渋めカラーやくすみカラーは、視力の弱い赤ちゃんにはボヤッとしてよくわかりません。

赤ちゃんにでも判別しやすい色となると、原色に近い明瞭な色使いがファーストブックにはベストなんですね。

 

 

 

絵はとことんシンプルに!

出てくるのは犬や車、踏切など、赤ちゃんにとっては目につく身近な題材ばかり。

その親しみやすいモノが、非常に明快かつシンプルな絵で描かれています。

赤ちゃん向けの絵本を見慣れていないと、最初はちょっと簡単過ぎると感じる方もいらっしゃるかも?

でも……それは大人が「絵をどうやって見るか?」を既に体得しているからなんですよ。

 

赤ちゃんは絵の見方なんて知りません。

なんだったら、絵とは何か、その概念すら持っていません。

目の前で見ている現実と、絵の中に描かれているモノが、同じ対象を指している事すら知らない訳です。

絵とは何か、絵本とは何か、それを教えるのが、ファーストブックの役割。

その学びの結果、赤ちゃんの頭の中で、現実の車と絵本の中の車が「同じだ!」と繋がるのは、赤ちゃんが「動物」から「人間」へと踏み出す為の、知性における偉大なる第一歩なのです。

 

さて、その一歩を踏み出す為のファーストブックとはどうあるべきか?

重ね重ね申し上げれば、赤ちゃんの視力は激弱ですから、見やすさとわかりやすさが第一。

必要最低限の要素のみを描いたシンプルな絵を採用し、鮮やかな配色によるコントラストの強さで絵を印象付ける。

必要な情報のみを的確に赤ちゃんへ届ける為には、ページに余計なものが書いてあってはいけないのです。

車の絵には車だけを描く!

信号や道路など、車以外の要素が書いてあると、赤ちゃんはどれが車でどれがブーブー言っているのか、わかりません。

ね、こう考えると、絵が超絶シンプルなのも、納得です。

 

おもしろ~~い擬音

「いぬ わんわんわんわん」

「みず じゃあじゃあじゃあ」

 

絵を指し示す単語の次に、真似しやすい擬音を繰り返す事で、絵・単語・擬音の繋がりを刷り込む事ができます。

しかも、文字をただ書いてあるだけではありません。

絵の一部としても楽しめるように、文字の書体や配置に至るまでも配慮されています。

これは特に「かみ」、紙を示すページで如実に表現されていますので、要チェック!

 

声に出して読み上げてみれば、「ばびぶべぼ」の濁音の強さ、「ぱぴぷぺぽ」の半濁音のヘンテコさなど、純粋な音の響きを楽しむのにもぴったり。

まだうまく話せない乳幼児にとっては、面白い音を聞くだけでも、そして自分で音を出すだけでも愉快な遊びですからね~。

「ぶぶぶぶぶ」と唇を震わせてヨダレを飛ばすのが好きな赤ちゃんもいますし、「ぱっぱー!」と叫ぶのが好きな赤ちゃんもいます。

そんな音で遊ぶ年頃の赤ちゃん達は、この絵本を読めば、いつもなんとなくやっていた音で遊ぶ行為を絵本で楽しめるんだ、と学習できる訳です。

擬音の面白さに気付けば、言葉を話す面白さへ一歩近づくのですから、これまた最初の絵本の手ほどきとしては、優秀でしょう?

 

ボードブック形式を採用

出版当初は、普通の絵本だったそうですが、途中からボードブックへと変更になりました。

全ては赤ちゃんの為を思っての事!

 

現在の装丁は、14cm四方のボードブック。

このサイズは、赤ちゃんの視野の狭さに合わせて、一番見やすい大きさが選ばれています。

外出先に持ち歩きやすいサイズですから、子育て中の方にはありがたいですよね。

紙が分厚くツルツルしていますから、赤ちゃんが舐めようが噛もうがしゃぶろうが、そう簡単には傷まないように頑丈です。

更に、1歳児でもめくりやすく、乾燥している時期に紙で指を切るなどの怪我もしにくいので、安心。

振り回して角が当たっても痛くないように、角を丸めておく心遣いも忘れません。

 

0歳の赤ちゃんへの心遣いがこれでもかと込められていますね。

 

 

我が家の読み聞かせ

我が家では長男の初めての絵本として、生後3カ月頃にプレゼントしました。

最初は反応が薄い……というより皆無。

そりゃそうですよね、生後3ヶ月の時ですから、周りの事をそんな認識できるはずがないんですよ。

しかし、初めての育児で舞い上がっていた私は、「これは失敗したかな」と早々にプチ後悔。

正直申しますと、最初の頃は大人の私からすれば、一体この絵本の何が良いのかサッパリでして……。

だって、大人からしたら、「みず じゃあじゃあじゃあ」「かみ びりびりびりびり」とか当たり前過ぎる描写で、読み聞かせていても反応ないし、退屈退屈ー!

赤ちゃん向けなのはわかってるけど、これ本当に赤ちゃんに面白いの!?

 

 

 

 

けれど、私の勇み足を他所に、長男は月齢を重ね、1歳、2歳と成長するにつれて、こちらの絵本へどんどん興味を示すようになりました。

読み聞かせを何度も繰り返す事で、絵本とは何ぞやと学んだ長男。

同じものを指差してみたり、自分で声を出してみたり、私の読み聞かせを真似っこしてみたり、段々と行動がステップアップ!

2歳の頃に自分1人でめくって、全ページを声に出して読み上げている姿を見た時は、「おおおっ!」と感動しましたー。

この絵本のおかげで、子供の心と知能の発達が如実に見てとれるきっかけをもらえたんですよ。

そもそも赤ちゃんにとっては、世界の全てが未知のもの!

色が赤い青い、形が丸い四角い、言葉が「じゃあじゃあ」だけでも、充分に刺激的なんですよね。

そして、初めてだらけの赤ちゃんだった長男からすれば、私からぽんと人生初の絵本を渡されても、本人的には謎の物体扱いで、「ナニコレ??」とポカンとするのも当たり前。

絵本は心の成長を促すもの。

最初の反応だけで決めつけてはいけなかったんですよね。

気が早すぎた当時の自分を反省です。

 

まとめ

赤ちゃんにとって世界は全て「初めて」に溢れてる事、子供に大人と同じペースを求めてはいけない事、それを新米の母親だった私はこの絵本に教えてもらいました。

絵本は子供だけでなく、母親も育ててくれる、奥の深い存在なんですね。

私にとっては、何もかもが新鮮な喜びと驚きに満ちている赤ちゃんと一緒に世界を共有し、母親として成長していく面白さを教えてくれた思い出の1冊です。

 

ぜひ、ファーストブックをこれから読む方は、赤ちゃんと一緒にこの世界をもう一度ゆっくり楽しんでみてくださいね〜。

 

 

作品情報

  • 題 名  じゃあじゃあびりびり
  • 作 者  まついのりこ
  • 出版社  偕成社
  • 出版年  1983年
  • 税込価格 660円
  • ページ数 22ページ
  • 我が家で主に読んでいた年齢 0~2歳前半(早めに読んで成長を楽しむのが吉)