絵本むすび

我が家のちびっ子兄弟へ贈る絵本・児童書の読み聞かせブログ

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絵本『あおくんときいろちゃん』子供の想像力を育むアートな名作

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全くの偶然から生まれた名作絵本『あおくんときいろちゃん』。

でも、偶然ではなく、必然だったのかもしれない……そんな運命論を信じたくなるほど、完璧な、子供の為の絵本、です。

絵が落書きみたいに見えると思った方、その直感は当たらずとも遠からず……ですよ。

全ては想像力が鍵。

想像力こそが絵本の原動力、そのお手本のようなこの絵本、一緒に読んでみましょ~。

 

 

 

簡単なあらすじ

仲良しのあおくんときいろちゃん。

ひとつになって混ざりあい、みどりになっちゃった!

パパもママも、みどりになって、ひとつになってしまった2人を見て、誰だかわからないみたい。

「うちの子じゃないよ」だって……!

 

 

絵本の紹介

想像力をフル回転して楽しむ絵本

この絵本を初めて手に取る方は、最初のページを開いた時に戸惑うかもしれませんね。

ちぎり絵……と言うには、あまりにも素朴。

子供が適当にちぎったようなガタガタの輪郭をした丸や楕円がちょこちょこと描いてあるだけ、それを主人公のあおくんやきいろちゃん達だと言うんですから。

実際、初めてこの絵本を読んだ私の夫は「これ……絵本なの?アリなの?」と戸惑っていましたよ。

 

でも、これがアリなんですよね~~~。

ただの丸が並んでいるだけで、あおくんやきいろちゃんの遊ぶ姿が見えてくる……これは私達人間に天から与えられたギフト、想像力の成せる技。

目の前の丸に、足りない全てを想像力で補完して、お話を脳内で再現して楽しむ。

動物(一部の類人猿を除く)にはできない芸当ですが、人間には得意技。

特に子供の頃は、この想像力が満ち溢れています。

そして、この絵本は想像力をフル活用して楽しむ、人間の子供達の為の絵本!

 

改めて考えると、想像力ってすごいですよね。

例えば、小さな子供達がお絵描きするただの線、丸や四角なんて、何も考えずに見れば、ただの図形にしか過ぎません。

それが、子供達の想像の世界では、家族や友達、先生やペット、大好きなオモチャなどに変身して、勝手に喋りだし、走り出し、踊り出していくんですから。

この絵本は、その小さな子供達のお絵描きとそっくり!

 

他にも考えてみれば、子供の頃って、何でも想像力で遊びにできますよね。

食べかけの食パンをティラノサウルスに見立ててガオーッと始めたり、ティッシュの空き箱を足に両方履いてガラスの靴にしてみたり……色々心当たりのある方もいらっしゃるはず。

この絵本を読むと、そういえば、自分も子供の頃、その辺で拾った沢山の石ころにそれぞれ名前をつけて、ごっこ遊びによる壮大なストーリーの主人公にしていたっけ、と思い出しました。

 

この想像力の豊かさは、特に子供ならではの高い能力。

大人へと成長するプロセスでは、身体だけでなく、知性と精神も飛躍的に発展していきますが、想像力は、それらの成長を助けて、一段上へ上へと押し上げていくにも、必要な力なんでしょうね。

大人になっても、想像力は普段の社会生活から人類の発展に至るまで、必要とされるものです。

さて、目の前の丸をただの図形と見るか、あおくんときいろちゃんと見るのか……ここは想像力の出番!

 

シンプルの極致ともいえる絵柄、更にシンプルなストーリーゆえに、自己を投影しやすく、想像の幅も大きく広がります。

仲良しの友達と遊ぶ楽しさ、家に帰れない心細さ、家族に気付いてもらえない悲しさ、抱きしめてもらう安心感と溢れる幸せ。

子供にとって共感しやすい心の動きが、絵と文章の両方でわかりやすく語り掛けられています。

国も時代も問わない、自由な想像力に溢れた絵本……世界中から愛されているというのも納得でしょう?

 

 

この絵本が生まれたきっかけは?

この絵本を描いたのは、名作『スイミー』で皆様ご存じのレオ・レオニさん。

 

 

数々の絵本を出版してきたレオ・レオニさんですが、その多くの著作の中でも『あおくんときいろちゃん』が特に小さな子供にも直感で理解しやすい絵本なのは、レオ・レオニさんが、小さなお孫さん達の為に作ったお話だからでしょう。

なんでも、電車の中で騒ぐお孫さん達を静かにさせようと四苦八苦していた時、たまたま持っていた雑誌「ライフ」を見て閃き、その場でページを切り抜いて、即興でお話を作って聞かせたのが、後の絵本「あおくんときいろちゃん」なんだとか……大変有名な逸話です。

 

全てが本当にたまたまの巡り合わせ、落書き同然の遊びから生まれたロングセラー。

現役子育て中の方でも苦戦する条件の下で、この絵本が生まれたというのは非常に興味深いですね。

シンプルの極致ともいえる内容も、その話を聞けば、納得です。

人間の創作活動は制限を掛けられる事でより工夫を凝らした活発なものになる、と耳にした事がありますが、まさにその状況だったのかも。

レオ・レオニおじいちゃん、よっぽど追い詰められていたのかな、と想像すると、ちょっと笑えます~。

あ、でも、この絵本がグラフィックデザインとしても洗練されているのは、さすがプロの作家ですね!

 

 

装丁の工夫

この絵本に使われている紙への拘りも素敵ポイント。

『あおくんときいろちゃん』は基本単色、しかも単純極まりないちぎり絵ですから、通常の紙へ印刷しただけでは、絵面にはのっぺり感がでてしまいます。

しかし、キャンバスや布地を思わせる手触りの厚手の紙を使う事で、ちぎり絵の良さを生かし、独特の表情を出してあります。

更に、小さな子でもめくりやすく、多少は破れにくいオマケ付き。

 

いやー、よく考えてありますよね!

カバーを外した表紙も、布っぽい感触の素材が使ってあり、これも洒落ているだけでなく、やはり汚れにくくて丈夫、という一石二鳥の装丁。

この絵本を作った方々の愛が一杯込められているのを感じますよ。

 

 

我が家の読み聞かせ

我が家の長男、2歳頃に読み聞かせをしても、一切見向きもせず、完全なる無反応。

あれ~~、2歳くらいにオススメって聞いて買ったはずが、息子には合わなかったのかなあ……??と思っていたら、3歳手前から急に読み始めました。

今までの「無」の顔がウソのように、「こっちがあおくん!そっちはきいろちゃん!」と指差しまでして楽しむようになったんですよ。

更に、次男も同じく、2歳頃はしらーっとした反応で、3歳前後で急に覚醒。

うーーん、なんで??

当時は心底不思議でしたねー。

 

絵本の受け取り方は個人差がありますから、あくまでも私の推測、我が家の場合ですけれど……2人の共通点として、絵本にはストーリー性がある、というのを理解し始めた頃だったのが影響したのかも?

赤ちゃんは生まれてから、初めてのものに囲まれて成長し、その思考能力も徐々に発達していきますよね。

目の前に描いてあるいくつもの丸をただの丸ではなくて、意味のある丸、物語のある丸として受け止め、抽象的な想像ができるようになる……この絵本を読むのに必要な思考能力の発達が、息子達の場合は丁度3歳前後だったのかな、と考えています。

 

絵本は最初子供が興味を示さなくても、じっくり機が熟すのを待つのも大事。

子供の好みではないのかもしれないし、まだ早すぎるだけかもしれない。

絵本は推奨年齢に拘らず、その子の心の発達に合わせて選ぶのが1番です。

この事は、息子達のファーストブックに選んだ絵本『じゃあじゃあびりびり』の時に、私は初めて経験して学びましたが、この絵本では再確認しましたよ。

 

ehonmusubi.hatenablog.jp

 

ちなみに……このブログでは褒めておきながら、私は最初、この絵本を意識高い系っぽくて苦手だなー、と本屋で敬遠してました。

いやはや、お恥ずかしい、一読してみたら、大きな誤解と思い込みでしたよ。

猛烈に反省です……自分できちんと確認もせずに、勝手な先入観で避けるなど、愚の骨頂!

私はこの絵本に限らず、他の絵本でも何冊か、同じような思い込みの過ちを犯しているんですけれど、まずはちゃんと自分で最初から最後まで読んで判断しければいけませんね。

読み聞かせを通して、自分の視野の狭さに気付かされる……子供に限らず、親も日々成長です。

 

 

まとめ

お子さん達と一緒にレオ・レオニさんの真似をして、カラフルな色紙をちぎって絵本を作ってみるのも楽しいかもしれませんよ。

こっちのピンクの丸はお姫様、そっちの赤い四角は恐竜……なんて、色や形を自由に作って、想像の世界を広げている内に、自分達だけの特別な名作絵本が偶然生まれるかもしれません。

 

想像と創造、両方の楽しさを教えてくれるきっかけになる『あおくんときいろちゃん』。

どうぞ、お子さんとご一緒に、あおくんときいろちゃんとお友達になってみてください、きっと世界の見え方が変わってくるかもしれません!

 

 

作品情報

  • 題 名  あおくんときいろちゃん
  • 作 者  レオ・レオニ
  • 訳 者  藤田圭雄
  • 出版社  至光社
  • 出版年  1967年
  • 税込価格 1,320円
  • ページ数 40ページ
  • 我が家で主に読んでいた年齢 2~4歳(3歳になってから急にハマりました)