水泳シーズン到来の暑い夏に読むのがぴったりの絵本!
泳ぐのって涼しくて楽しくて気持ちいい~~~、とページをめくる度に水遊び気分を満喫できますよ。
ぼくは、わたしは泳げないの、っていう子でも大丈夫大丈夫!
主人公のきっこも実はまだ泳げないんです、一緒に泳ぎの練習してみませんか?
簡単なあらすじ
スイカを片手に、友達のイタチのちいとにいの家へ遊びに行ったきつねのきっこ。
川ですいすい泳ぐ2人の胸元には美しく輝く緑色の石……なんでも、泳ぎの名人である「たろうめいじん」から、上手に泳げるようになると貰えるんだとか。
私もその綺麗な緑色の石が欲しいっ、ときっこは泳ぎに初挑戦します。
でも、そもそも、たろうめいじんって何者??
絵本の紹介
「頑張る」ってどういう言葉?
この絵本の中で、緑色の石よりもピカピカ光るのは、きっこの果敢なチャレンジ精神。
懸命に努力して練習して望みを叶える姿は、なんと眩しく輝いているんでしょう!
最近敬遠されがちな「頑張る」という言葉が素直に表現されているのは、この絵本の魅力です。
頑張り過ぎて心と体を壊すなんて論外ですし、「頑張らなくていい」の言葉が誰かの心を救うのもひとつの事実。
何事も過ぎたるは及ばざるが如し、特に子供が過剰な頑張りで心身を限界まで追い詰められるなんて、あってはならない事です。
ですが、本来、頑張るってそんなに悪い言葉ではないですよね?
最近はマイナスイメージの面を挙げられる場面が増えましたが、「頑張る」とは夢を叶える為、目標に辿り着く為、現状を維持する為、未来に向かって努力を続ける選択肢を自分で選んで行動する、もっと健やかで前向きな言葉なんじゃないでしょうか。
努力が結果に繋がる、という理想を信じるからこその「頑張る」という言葉。
もちろん、大人は現実がそう甘くない事を知っていますよ。
でも、未来を夢見る子供の頃くらいは、理想を信じたって良いじゃないですか。
むしろ、子供の頃に理想を信じられなかったら、その後の長い人生で、人間が生きていくのに大切な希望が持てなくなっちゃう!
きっこの、ひたむきに目標を達成しようとする目はキラッキラ。
最初は泳げなくても、素直に教えを乞い、一生懸命練習するきっこは、自分自身を信じているんですよね。
弛まぬ努力と強い思いがあってこそ、ひとつふたつ上の目標にも手が届くんです。
やり遂げた喜びがどれほど深いか……それは頑張った本人だけの心のメダルになるはず。
きっこの一生懸命な泳ぎっぷりを見ていると、もし私のパワーを送れるものならば送りたい!という気持ちが湧いてきて、心から「頑張れ!」と応援したくなります。
正体を明言するのは伏せますが、たろうめいじんの名指導も素晴らしいですよ。
遊びのように見えて少しずつステップアップしていく練習、的確にアドバイスをしつつ褒めて伸ばす指導ぶり。
きっこの最後の試練も危険がないように見守り、自信と達成感に繋がるように導いていく……私はスポーツ系部活動の経験がないのですが、こんな監督の下でなら、頑張れそうな気がしてくる、かも?
学ぶ楽しさ、練習する楽しさ、できるようになる楽しさ……スポーツに限らず、たろうめいじんみたいに、これらの楽しさを伝えられたらいいですねー。
きっこシリーズの魅力
私はこの「きつねのきっこ」シリーズ、特にきっこの大ファン!
きっこは、努力家で勇敢、友達思いで優しくて、手間を惜しまぬ働き者。
ちょっぴりドジをする事もあるのが、これまた魅力なんです。
この絵本では、きっこの頑張り屋さんな一面がクローズアップされていて、ますますきっこが好きになりました。
色々な絵本を読んできましたが、キャラクターとしては、きっこが一番かなー。
私もきっこみたいな素敵な女の子になりたいです(と言っても、私は既に子持ちのアラフォーですけど)。
きっこシリーズは、ちょこちょこと細かい部分の描きこみを楽しめるのも特徴です。
幼児でも「あっ、これ!」と自分で探して見つけられるレベルの描きこみなので、絵探し要素をクローズアップしながら、読み聞かせするのも面白いですよ。
こちらの絵本は夏の森や川が舞台なので、あちらこちらに昆虫や鳥などが描かれていますから、早い者勝ちで誰が一番沢山探せるか、を競争してみるのもオススメです。
我が家の読み聞かせ
我が家のちびっ子兄弟、7歳&5歳時点でやっと顔を水につけられるようになったレベルでして、全く泳げません。
でも、この絵本を読むと、自分達もきっこのように泳げるようになる!と宣言。
「泳ぐのなんて簡単さ、こうやればいいんだもん」ときっこの真似をして、身体をクネクネさせてみせます。
実際に水に入れば、2人ともへっぴり腰になるのですけれど、きっこ達の泳ぐ姿を見ると「泳ぐのって面白そう!」と思うみたいですね。
まあ、気持ちはわかりますよ、私も読み聞かせていると、水を手でかいた時の感触や飛び込んだ時にぶくぶく立ち昇る泡、水面から勢いよく顔を出した時の空気の美味しさなど、鮮明に蘇ってきますからね。
息子達、家庭用ミニプールでは張り切ってバタ足の練習をしておりますが、さてさて、実際に泳げるようになるのはいつになる事やら?
ちなみに、私は生来の運動音痴で、泳ぐのも下手(というよりほぼ泳げない)なので、たろうめいじんのように的確に教えるのには程遠く……泳げない大人1人+子供2人で悪戦苦闘する夏が今年も来年も続く予感がします。
まずはやってみるしかないので、きっこに続け!と音頭をとってみようかな。
「たろうめいじんのたからもの」を読んでいると、挑戦する事、一生懸命に頑張る事、を忘れがちになっていた最近の自分自身に気づかされます。
普段の生活は問題なく送ってはいるんですよ?
ただね……新しい何かに最近挑戦したか、全身全霊で努力した事があるか、と問われると、胸を張って言えるようなものがないんですよね。
私の場合、この絵本ブログを始めた、というのは一種の挑戦ですが、パソコンは元々使っていましたから、新しいと言い切れるかどうかは微妙??
それに、子供の頃は全力で頑張る事の方が多かったのに、段々と力をセーブする方法を覚えて、それなりに頑張るだけでお茶を濁そうとするようになってたかも……。
自分にできるのはここまで、と予め範囲を決めて、その中でだけ動く習慣がついているのではないか、と思うと、ちょっと自分が恥ずかしいです。
力に余裕を持つというのも大事、でも時には全力を出すようにしないと、その内、本気の出し方がわからなくなってしまうかも……。
いい年をした大人なのに、簡単だけれど難しい事をきっこに教えられましたね。
うーん、やっぱり、きっこは素敵な女の子だな~~。
まとめ
読後感がとてもすがすがしいので、例え猛暑の中でも「たろうめいじんのおくりもの」を読めば、気持ちは涼やか!
これからの自分、明日の自分がとっても楽しみになってくる絵本ですから、ぜひ皆様にも読んで頂きたいです。
最後、泳げるようになった証の緑色の石を胸にピカッと光らせて、誇らしげに微笑むきっこはとってもカッコいいですよ。
おめでとう、きっこ。
頑張ったね、きっこ。
さあ、きっこに負けないくらい、こっちも明日に向かって挑戦してみよう!
作品情報
- 題 名 たろうめいじんのたからもの
- 作 者 小出保子
- 出版社 福音館書店
- 出版年 2013年
- 税込価格 990円
- ページ数 32ページ
- 我が家で主に読んでいた年齢 3~5歳(水遊びデビューに合わせても!)