生きていくには避けられない、排泄物「うんち」を扱った絵本。
こちらは身近な動物のうんちをクローズアップし、モグラ君と様々な動物のうんち巡りができる愉快なストーリーになっています。
よーし、みんながどんなうんちを出しているのか、見せてもらいましょー!!
簡単なあらすじ
題名通りのセリフを連発しつつ、モグラ君が自分の頭に粗相した犯人を探し回ります。
一体誰がこんなひどい事を!と憤りながら、聞き込み捜査するモグラ君。
復讐に燃えるモグラ君がついに追い詰めた犯人とは……!?
絵本の紹介
動物のうんちを巡るユーモアセンス
うんち、それは自然の摂理。
食べたら出るのは当たり前。
生きている以上、動物にとって、排泄は避けては通れない大切な行為です。
そして、その排泄物はそれぞれの動物によって千差万別……でも、その排泄物、つまりはうんちの事をどれだけ知ってるかなー?
この絵本では、8種類の動物のうんちの特徴を子供に理解しやすいように、そのほとんどを身近な食べ物に例えてあります。
例えば、ヤギのうんちはこんな感じ!
ゴロン ゴロン!
こむぎいろの あめだまが いっぱい
くさの うえに おちてきました。
もくらくん、よだれが
でそうに なりました。
(偕成社 ヴェルナー・ホルツヴァルト(文)/ヴォルフ・エールブルッフ(絵)/関口裕昭(訳)「うんちしたのはだれよ!」1993年出版)
よだれが出るモグラ君にドン引きするのは別として、文と絵の両方を駆使し、色・形状・硬さに至るまで、それはもう丁寧に表現。
特に絵は、絵本ならではの愛嬌やユーモラスさがありながらも、動物としての特徴を写実的に捉えてあります。
読み上げる大人としては、そのリアルさの部分に「ううっ」となるのが難点でしょうか……。
あまりにもわかりやすく説明してあるものですから、例えられたその食べ物を食べたい気が急降下。
いや、わかりやすいですよ、そもそも食べた物がうんちになって出てくる訳ですから、その例え方も自然な流れに乗っていて、すごくイイですよ!
でも、ポピュラーな食べ物ばかりが出てくるので、それは例えないでほしかったと心の中でがっくりくるような、わかりやすさに感心するような、複雑な気持ち……なんでしょうね、これ。
こちら、ドイツの絵本なんですけど、例えの中にはソーセージも出てくるんです。
ドイツと言ったらソーセージ、ソーセージと言ったらドイツ。
そのドイツの国民食とも言うべきソーセージを○○のうんちに例えるとは!
いや、皆ちょっとは心の中で思ってはいるでしょうけど、この絵本では最初から明言しちゃったよ、更には最後にもダメ押ししたよ、とおかしくて、思わず笑ってしまいます。
この絵本のユーモアセンス、結構好き~!
モグラ君の復讐も結構えげつなくて、面白いんですよね~。
犯人がわかった時のモグラ君のやる気満々な悪い笑顔は、目には目を歯には歯を、と言わんばかり。
復讐を遂げてスタコラと地中へ潜っていくモグラ君のお尻は、二重の意味でスッキリ爽快!
犯人の身から出た錆とは言え、これをやられるのは嫌だね~~、と子供達と笑いあうのは、なかなか愉快なひとときですよ。
うんちネタは幼児の鉄板ネタ!
それにしても、子供はうんちネタ大好きですよねー。
排泄をコントロールできるようになったばかりの幼児、またはトイレトレーニング中の幼児にとって、うんちはお尻の外に出てくるまで自分の一部だったはずの存在で、とっても気になる自分の分身のようなもの。
そりゃあ、自分の分身が眼前に現れたら興味津々にもなりますし、他の人や生き物の分身もどうなっているんだろう、と気になってしまう訳で……この心理には男女の別は関係ないようです。
多少年齢が上がれば、今度は知恵もついてきて、「うんち」という言葉があまり人前で連呼するべきではないと少しずつ認識し始めます。
でも、認識したとしても、そこはやはり子供。
周りから「NGワード」扱いされると、余計に口にして、注目を集められるのが嬉しくなってしまう目立ちたがり屋に変身!(特に男子に多いイメージ?)
時には「うーんちー!うーんちー!」とスーパーの中心でうんちを叫ぶ状態になる事もあるのは、育児経験のある方なら頷いてくださるのではないでしょうか。
そんな子供の鉄板ネタ「うんち」を扱う絵本は、大抵どれもが大人気。
どれを与えても大抵子供は注目してくれるものですが、この絵本はやはりモグラ君の愉快な復讐劇とうんちを巡る問答の軽快なリズム感が秀逸です。
人間のうんちは出てこないので、そちらは別の絵本を読んであげるとして、動物モノでしたら、ぜひこちらを読んで大笑いしてみてくださいね。
我が家の読み聞かせ
この絵本の我が家での読み聞かせは、私よりも夫が読む方が人気あります。
夫がモグラ君の声を鼻にかかった変な声(本人曰く「バカっぽい声」)で読み上げると、息子達は「なにそれーっ!」と大喜び。
下ネタ+変声というコンボにより、転げまわりながら狂ったように笑う息子達。
これを読んでもらった日には、延々うんちを連呼して遊びます。
うーん、単細胞兄弟め……うんちであれだけ大はしゃぎできるとは、7歳と5歳、まだまだ子供ですね。
私も夫に負けじと変な声を出そうと努力してみますが、元が女性の高めな声質ですから、夫の出すドスの利いた変声には近づけられず、ウケ具合がいまいち。
息子達、私に対しては、この絵本を時々持ってくる程度なのに、夫へのリクエスト率の高さと言ったら、相当なものですよ。
絵本も読み手によって表現できる幅が違うというのをこんな所で実感するとは……。
く、悔しい~~っ!!
読み聞かせは別に勝ち負けではありませんけれど、この敗北感たるや……いつかはリベンジをしたいと心に誓いつつ、この絵本を読む時には変声の練習に余念がありません。
きっと、私も息子達をあれだけゲラゲラと笑わせてやるぞー!!
……しかし、このブログを書きながら、ふと我に返りましたけど、子供が生まれてからは平気で「うんち」と口にできるようになった私は、母として強くなったと言うべきなのか、恥じらいを捨てたと言うべきなのか……どちらなんでしょうね?
昔は花も恥じらう大和撫子で、人前で「うんち」なんてとても口にできないっ、と思っていたはずなんですけど??
まとめ
ここまで盛大にうんちうんちと連呼してきましたが、お読み頂いた方のお目汚しになってしまいましたら、大変申し訳ないです。
でも、絵本は子供の為のもの、そして子供はうんちが大好き……うんちを避けては子供を語れないと思って、どうぞご容赦くださいませ。
私はもう開き直りました。
うんちで笑うのは子供の内だけ。
うんちで笑わなくなった時、それはその子の心が大人へと一歩階段を上った時。
子供が子供でいる証、と思うと、うんち絵本で笑う我が子が愛おしく見えてきます。
うんち絵本、奥が深いですね。
作品情報
- 題 名 うんちしたのはだれよ!
- 作 者 ヴェルナー・ホルツヴァルト ヴォルフ・エルブルッフ
- 出版社 偕成社
- 出版年 1993年
- 税込価格 1,430円
- ページ数 23ページ
- 我が家で主に読んでいた年齢 3~5歳(うんちが大好きな幼児向け)