絵本むすび

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絵本『じごくのそうべえ』大人も子供も落語パワーに大爆笑!

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抱腹絶倒っ!落語の底力を見よ!!

落語と絵本のマリアージュは、子供も大人も夢中になる面白さ。

そうべえ達の地獄での愉快痛快な暴れっぷり、とくとご覧あれ。

 

 

絵本の紹介

綱渡りの最中にうっかりミスで落っこちて、気がつけば、三途の川を渡る羽目になった軽業師のそうべえ。 

旅は道連れ世は情け、地獄で会ったも何かの縁とばかりに、行きあった3人の仲間と共に地獄巡りが始まります。

恐ろしい鬼も閻魔大王も手玉に取って、怖いはずの地獄が笑いの舞台へと早変わり!?

 

 

 

原案は、故・桂米朝さんの上方落語「地獄八景亡者戯」。

元々は、忘れらていた昔のネタを桂米朝さんが現代に復活させて、十八番にしていた事でも有名で、今でも桂一門にとっては特別な存在のネタなんだとか。

基本的に登場人物による地獄巡りの話で、時事ネタを取り入れたギャグや身振り手振りなどをふんだんに盛り込んだ、1時間以上掛かる大ネタです。

アレンジが様々に変えられる為、噺家ごとの個性も出やすい反面、力量を問われるという難しさ……これは演じ甲斐もあれば、聴きごたえももあるでしょうねえ。

その桂米朝さんの代表作を原案にして、小さな子供達が親しみやすいように、田島征彦さんが絵本に落とし込んだというんですから、贅沢な絵本ですよ。

 

軽快な関西弁の語り口、一癖も二癖もあるコミカルな登場人物達、幼児の鉄板であるオナラやウンチなどの下ネタ、本当は怖いはずの地獄が組み合わさったドタバタ劇は、声に出して読んでも聞いてもリズミカルで、笑いが込み上げてきます。

仲間さえいれば、地獄だって何のその!

血の池や針山などのおどろおどろしい地獄も、そうべえを始めとする仲間達のしっちゃかめっちゃかぶりと職業柄持つ技の数々の前には、怖さも半減、いや八割減。

最初はいかめしかった閻魔大王が、そうべえ達に翻弄されて、段々頭を掻きむしらんばかりになっていくのが、おかしいのなんの……威厳なんてあったものじゃありません。

 

 

この絵本は黙読して読むのはもったいない!

ぜひ音読するのをお勧めします。

元が落語だけあって、言葉として音を発した時に面白さが跳ね上がり、本領発揮するタイプ。

落語は話芸、己の身一つ、噺だけを引っ提げて真剣勝負してきた人々が磨き上げてきた伝統は、絵本になっても輝きには変わりがありません。

読み聞かせの楽しさ面白さ、落語の凄さを心底から経験できる素晴らしい絵本で、私はこれを読む時は落語家になった気分、調子に乗りまくって読んでます。

 

関西弁ならではのリズム感の良さと緩急つけた話の組み立てに、水を立て板に流すとはこの事か、と頭ではなく身体で体験できるはずですよ。

関西弁と言っても、地域によってはかなりの差異がありますが、それでも関西地方出身の方ならば、この絵本の読み聞かせの妙をより堪能できるでしょうね……羨ましいっ。

自然なイントネーションをつけるかつけないかで、この絵本の良さがどれだけ引き出せるかが変わってくるんじゃないでしょうか。

なめらかな関西弁で読み上げだ「じごくのそうべえ」は、まるで音楽のセッションを聴いているかのように耳触りが良くて、魅力が倍増。

これでもかと畳みかける言葉の数々のリズムの良さよ……私は残念ながら、エセ関西弁しか喋れないので、ジェラシーすら感じます。

 

 

挿絵が伝統技法の型絵染(型紙と友禅糊を使用して文様を染める)というのも、この絵本の特筆すべき点ですね。

そうべえ達人間は画面に対して小さく描かれていますが、それは地獄の迫力や奥行きを表現する為、鬼や閻魔大王の存在感と魅力を引き出す為。

日本の地獄に皆が抱くイメージ、着物姿の人々が過ごす舞台の時代性、登場人物の個性豊かなキャラクター性、おならネタや糞尿地獄などの尾籠な部分……挙げていけばキリがない、「じごくのそうべえ」を構成する要素の数々。

これら全ての要素をしっかり抱き込んでみせる型絵染の素晴らしさ!

これがもし、ファンシーなイラストや小綺麗なだけのイラストだったら、全てを受け止めるには絵としての器が足りなくて、せっかくのそうべえ達の地獄巡りも台無しだったでしょうね。

 

 

そうべえはシリーズ化もしてますが、本作が完成度はピカイチ。

登場人物それぞれの必然性という点でも優れています。

まあ、シリーズのどの絵本も、馬鹿馬鹿しいまでの笑いに溢れているので、子供はケタケタ笑うはず。

ちなみに、同じ桂米朝さんの上方落語「小倉船」「兵庫船」を原案としているのは「そうべえ ふしぎなりゅうぐうじょう」です。

同じ落語繋がりで読んてみてもよいかもしれませんね。

 

 

 

我が家の読み聞かせ

田島征彦さんの絵本は他でも読んではいたものの、初めて見たこの絵本はあんまり最初は惹かれず……白状しますと、表紙が好みじゃなかったんです……。

それに、私が子供の頃に読んでいた日本の地獄モノって湿っぽいというか、辛気臭いイメージが強くて、幼稚園児にはどうかな~~~、という印象だったんですよ。

でも、絵本の紹介記事などでは、この絵本がとにかく絶賛されていましてね。

我が家のちびっ子兄弟へ選ぶ絵本には、私以外の目線で選んだ絵本も取り込んでいく方針ですし、これだけ称賛されているならば、そこまで酷くはなかろうと手に取ってみたら、これがめちゃくちゃ面白いーー!

 

息子達が5歳&3歳の時に読み始めましたが、長男はゲラゲラ転げまわって大爆笑、次男は「ぺぺんぺんぺんぺーん!」と連呼して大はしゃぎ。

そうべえ達がじんどんきと言う鬼の腹の中でやりたい放題する場面では、皆で叩いたり引っ張ったり蹴ったりする真似をして、「おならぶー!」と叫び、笑いが止まらない事もしばしば。

いやー、落語と聞くとなんとなく敷居が高いというか、知識も何もない子供にわかるのかな、なんて思っていましたが、杞憂でしたね。

むしろ、子供こそ変な固定概念もなく、描いてある全てを正面から受け止めて笑うんですから。

大笑いする息子達に負けず劣らず、私もこの絵本の大ファンになってしまいました。

誰ですか~、読みもしないくせに敬遠していたのは!?

 
 

まとめ

私と同じように「好みじゃないな……」と思っている方、一度騙されたと思って、まずは読んでみてください。

あ、読む時は必ず声に出して読んでくださいね、絶対にその方が100倍面白いです。

落語ってこんなに面白いんだ、子供も大人も楽しめる間口の広いものだったんだと、実感できるはず。

本来の落語は庶民の気軽なお楽しみで、きっと昔の人たちは、今の私達がコントや漫才を見ているような感覚で落語を楽しんでいたんでしょうから、堅苦しく考える必要なんてないんですよね。

読めばきっと、そうべえ達が愉快な地獄と楽しい落語の世界へ連れて行ってくれますよ。

 

 

【作品情報】

  • 題 名  じごくのそうべえ
  • 作 者  田島征彦
  • 出版社  童心社
  • 出版年  1978年
  • 税込価格 1,540円
  • ページ数 40ページ
  • 我が家で主に読んでいた年齢 3~6歳(おならネタで笑う年齢にせひどうぞ)